2007年01月13日

Laço Tayfa【Hicaz Dolap】

lacotayfa.jpg
古都イスタンブル。東西文明いいとこ取りの街。

Laço Tayfa。ラチョ・タイファと読む。見ての通り、何とも柄の悪そうな面構えの面々だが、ロマ(ジプシー)系のメンバーである。
これが現代トルコシーンを代表するバンドなのだ。

トルコの伝統的なフレーズをポップなアレンジで再解釈し、洗練されたジャズファンク風のサウンドに仕立て上げている。これが実にカッコいい。
World/Jazz/Urban/Grooveを標語に、トルコで最もオシャレな音楽を発信し続けるDoublemoonレーベル、2002年の傑作である。

バンドは8人編成。クラリネットのHüsnü Şenlendirici(ヒュスニュ・シェンレンディリジ)をリーダーに、キーボード、ドラムス、ベース、パーカッション、ヴァイオリン、バーラマ(Bağlama、中型のサズSaz)、カヌーン(Kanun、ピックで弾くサントゥールみたいなやつ)である。この不思議な編成が、既にして伝統と先進の融合を目指す姿勢を体現している。
8人が8人とも、ただならぬ腕前の持ち主で、聴くほどに、音楽的ミニアチュールの世界に迷い込んだかのような快楽を覚える。
お約束の様に暴走する変拍子は、どこまでも緻密で、一瞬これはサンプリングプロジェクトなのかと錯覚してしまうほどだが、緩急自在な演奏が生バンドならではの呼吸を伝えている。
一方で、オリエンタルな叙情をしっとりと聴かせるスローナンバーもまた凄い。
ベースソロでは曲芸的な速弾きが入ったりするが、それがちっとも嫌味にならないのは、バンド全体が揺るぎない緊張感を保っているからに他ならない。ちなみにこの人、一曲目の冒頭から豪快に飛ばしてます。

この渾然一体感が、数千年に渡る東西文明いいとこ取りの歴史を持つイスタンブルの伝統、なのだろうか。
中近東ポップバンドの中では一番のお気に入りである。

こちらのページこちらのページで一通り試聴出来ます。

最後に2曲収められたRimixも秀逸。
Rimixを担当したのは、これも現代トルコシーンを代表するアーティストであるメルジャン・デデMercan Dede。聴いて頂ければ分かるように、彼もなかなかの曲者で、クラブサウンドとスーフィー音楽の融合という暴挙を、かなり際どいところで成立させている。

ところで、ここに掲げた写真では分かりにくいが、ジャケットでメンバーが持っているグラスには深紅の液体が入っている。私はずっとワインだと思っていたのだが、ある時トルコ通に聞いたら、これは紅茶なのだそうだ。トルコの紅茶は本当に文字通り「紅い」らしく、ウサギの血の色をしているのが極上なのだという。飲んでみたいような、ちょっと怖いような。肉食文化ならではと言うか、よりによって、何でそういう表現をするかなあ。
でもトルコのコーヒーはとても美味しくて、私も大好きです。


検索用;Laco Tayfa, Husnu Senlendirici
posted by 非国民 at 23:16| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽;西アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
豊かなイスーラムの音楽文化を西洋に伝えたのがトルコ人。

トルコ人の友人がいて、よくチャイをごちそうになった。あれは、めちゃくちゃ濃いやつを入れておいて、それからそれをお湯で薄めて飲むのです。

トルコのバンドのライヴには二回くらい行った。変拍子最高!
Posted by 黒木 at 2007年01月14日 08:46
構築的な精神(プラトン的と言っても良いんだけど)に裏打ちされた強い論理志向と神秘趣味の共存はヨーロッパ人の伝統的な悪癖ですが、ラチョ・タイファの変拍子には、そういった「病」の影が希薄なんですね。変に理屈っぽいところが無くて、もっとのびのびしてるというか。
非構築的な東方精神の発露、なんですかね。
Posted by 非国民 at 2007年01月14日 17:07
相変わらずスミッコの方から見つけてきますねー。(笑)ともかく試聴しました。
後半の曲は米西海岸的テクニカル・フュージョンっぽい匂いもありますね。若い人たちだから色んな音楽を聴いているのでしょう。
武満徹や秋吉敏子が西洋音楽に和楽器や和旋律を取り入れたノリと同じく、世界のあらゆる所でこういう「フュージョン」が育っているのかなあ。

ちなまないけど「Magical Match」の話。何度も再注文を繰り返した結果、先週「品切れにつきゴメンナサイ」メールがついに届きました。
ま、ありがちなことですが...。
Posted by やきとり at 2007年01月14日 22:16
やきとりさん
>米西海岸的テクニカル・フュージョンっぽい匂いも
そうなんですか。う〜む。たまにはスミッコじゃないものも聴かないとなあ。
とか言いつつも、そもそもテクニカル・フュージョンが何なのかも分かっていない私。。。。

ちなんでませんが、「Magical Match」、残念でしたねえ。私が謝ることでもないんですが、さんざん煽ってしまったので、スミマセン。
このラチョ・タイファのアルバムも、日本では全然売れなかったらしいです。
私は輸入元のアニマミュージックさんで直接買ったのですが、社長いわく、日本全国で5〜600枚ぐらいしか売れてないのだとか。
もったいないですねえ、こんなにカッコいいのに。
Posted by 非国民 at 2007年01月15日 01:09
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