2014年12月12日

七千年の孤独

グレッグ・イーガン『順列都市』を読了。これは凄い。

SFは結構好きで、生半可ながらも結構読んでいるつもりだが、この作家の事は知らなかった。こんな凄い作品を何で知らなかったんだろう。でもまあ、生きているうちに読めて本当によかった。

遠山啓の『無限と連続』という本が岩波新書から出ている。岩波新書では珍しい数学の本だ。私が高校生の頃、ということはもう30年も昔だが、当時既に名著と言われていたから、数論の世界では古典的なテーマではある。

さりながら、純数学的な意味における「無限」を突き詰めたSF作品はごく少ない。『順列都市』は、その数少ない中にあって、紛れもなく傑作だ。ただし読み難い。端的に言って『カラマーゾフの兄弟』ぐらいには読み難い。正直に言うと、私は二度読んだ。

同じ本を二度読みするのは、まあ無くはない。が、読み終わってすぐに「もう一度読まねば」という気にさせられたのは、多分初めてだ。それぐらいの濃さがある。思弁の緻密さもあるが、明らかに意図的と思われる構成の難解さ、プロットの拡散具合について行けず、一度目はよく分からないままに読み続けた。ところが、よく分からないながらも「今とてつもなく凄いものを読んでいる」という事だけは分かってしまったのだ。珍しいパターンだと思う。そしてもう一度読み、やっぱりコレは凄いのだと確信する。「この宇宙」が終焉してもなお存在し続けるという掛け値なしの「不死」、ここまでの無限を描いた小説を他に知らない。

大雑把なジャンルとしてはサイバーパンクの系譜に入るんだろうけど、作者の強靭な想像力は明らかに「サイバーパンクのその先」に達している。「デジタル情報としての意識」を極限まで追求し、問い詰めた芯に残るのが、あら何と不思議、削ぎ落としても落とし切れない人間の「業」の哀しさ、切なさだったりする。このあたりはフィリップ・K・ディックの味わいに通じるのかな。

実は1994年の作品だったりするのだが、今からでも絶対に読むべき。記事タイトル「七千年の孤独」が何を意味するかは、読めば分かる。
posted by 非国民 at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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