2009年04月18日

Candy Lo(盧巧音)【4 seasons in one day】

candy_lo.jpg
いささか曖昧な香港の四季。

「あなた本当に歌手ですか?」と問い詰めたくなるようなジャケットだが、なかなかどうして、中身は極上。

Candy Loこと盧巧音の2004年アルバム。新作4曲を収めたベスト盤である。当地で「新曲+精選」と呼ばれるスタイルだ。香港ではアルバムがすぐに廃盤になるせいもあって、やたらとベスト盤が出る。

そんな訳で、本作はお買い得感たっぷりの2枚組34曲入り。これがまた、どの曲も良い。曲調も、オシャレなラウンジ系からちょっと尖ったロック調、そして王道の中華ポップまで幅広く押さえていて、通して聴いても飽きることがない。かと言って散漫な印象もない。34曲も入っていて「コレはちょっと…」というハズレが全く無いというのは、本当に凄いことだと思う。

彼女は広東語でも北京語でも歌う歌手だが、このアルバムは全曲広東語。香港の歌手にしては珍しくスッキリした声質なので、広東語の濁った感じが無く、その辺も私の好みなのかな。ソロになる前はロックバンドで歌っていたというだけあって、サウンドの創りもクオリティが高く、しかも、凝ったサウンドの中にあってヴォーカルの存在感は揺るがない。

アルバムタイトル(中文サイトでは【一天四季】と記されている)にある通り、34曲を春夏秋冬のテーマ別に並べてあるらしい。らしいのだが、残念なことに私にはそのニュアンスが全く分からない。香港の四季はどうなっているのだろうか。歌詞を読めば四季を感じ取れるのかも知れない。

一天四季の企画は私には通じなかったが、どれもが佳曲であることは間違いない。中華ポップをこよなく愛する人も、中華ポップを聴いてみたいけど何処から入って良いか分からない人も、買って損のないアルバムだと思う。

例によってyoutubeに音源が転がっているので紹介しておこう。
どの曲も捨て難いが、例えば秋の「自戀影院」。ロック色を帯びたクールなメロディに落ち着いたストリングスを配したアレンジが実に渋い。
あるいは冬の「垃圾」。こちらは端整なオーケストレーションに載せて「いかにも」な中華ポップが展開する佳曲だ。

彼女自身が作曲した曲もいくつかあって、これも良い。例えばアルバムの最後に収録されている「温室」。最後ということは、つまり冬シリーズな訳だが、どうしてこれが冬なのか、そればかりは非国民にも分からない。
posted by 非国民 at 03:11| Comment(7) | TrackBack(0) | 音楽;東アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ではわたくしは「好心分手」を。
http://www.youtube.com/watch?v=2w_IjuQav9I
ソロもありますがこちらは日本では彼女より知名度が高いか、台湾の王力宏とのデュエットです。(台湾で活動しているが、ウィキみたらアメリカ生まれでしたね。北京五輪の閉会式にも出てた)
わたくしの考える中華圏popのマスターピースの典型。
適度な湿り気とでもいうのか、現地でTV流し見してるときとか、カラOKで隣のおねいちゃんが歌いだしたときとか、こういう曲の持つ空気感ってその場にしっくりはまるのですよ。
Posted by なめぴょん at 2009年04月18日 17:30
「好心分手」も名曲ですよね。もちろん【4 seasons in one day】にも入っています。ソロバージョンの方です。
http://www.youtube.com/watch?v=Hm1cQlvBTz0
作曲は盧巧音のアルバムにプロデューサーとしても参加している雷頌コ。彼の書く曲は往々にして「あからさまな商業路線」が見えて、それが気になる時もあるんですが、でもやっぱり上手いですよね。私も好きな曲です。
>中華圏popのマスターピース
に同意。
Posted by 非国民 at 2009年04月18日 19:00
えー、難しい話には付いていけないので(笑)感想だけちょっと書きます。確かに声にクセがないので、サラッと聴けました。
曲もなかなか。ただ「温室」の打ち込み感はつらいかな。PVのパイオツの谷間には目が釘付けになりましたが(笑)。

なめぴょんさんが紹介されているデュエットの方は、なぜかベストテン世代の私の琴線に触れるものがあります。
「好心分手」のサビはパッヘルベルのカノンの変奏曲みたいですね。アレンジもちょっとクラシカルだし。中華ポップ道、深し!
Posted by やきとり at 2009年04月18日 23:40
youtubeの「室」はスカスカに音質が劣化してるのであれですが、実際にアルバムで聴くとエッジの効いたアコギの音がカッコイイですよ。まあ他は結構打ち込んでますけどね。
「好心分手」のサビがカノンだというのは全くその通りで、実は私も感じました。コード進行がもろにそうですもんね。そんなベストテン世代のやきとり同志には、こちらなんぞ如何でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=NliXuufUTkE
歌あたまのCmaj7→Fmaj7が琴線に触れるかな。
Posted by 非国民 at 2009年04月19日 09:26
80年代半ばっぽいアレンジがジャマして「琴線」には触れませんでした。悪くはないんですけどね、その頃はベストテンは卒業していましたから
・・・うるさくてスミマセンねえ(笑)。メジャーセブンスに関しては、私は抗いようもなくメロメロになっちゃう体質ですので、これは良い曲だ!
Posted by やきとり at 2009年04月23日 00:07
ふむふむ、人のことは言えません。私もメジャーセブンスには弱いので、「我也不想這樣」にはメロメロです。サビも綺麗です。
この歌は北京語なので盧巧音とは若干感じが違いますが、やはり間違いなく中華ポップスのマスターピースと言えるでしょう。
Posted by 非国民 at 2009年04月23日 01:01
ところで、相変わらず同志やきとりの署名がリンクしていません。「n」が一つ余計みたいです。
Posted by 非国民 at 2009年04月23日 01:02
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