
とても静かなピアノトリオが熱を帯びる時
たまにはジャズピアノを。今宵はMichel Bisceglia。
例によって異人の名前は読み方が難しい。このピアニストはイタリア系のベルギー人(本人は生まれも育ちもベルギー)で、Biscegliaというのもイタリア系の名前だ。イタリア語の発音だと、ビシェッリャあるいはビシェーリャといった感じだろうか。HMVのサイトでは「ミシェル・ビセリア」と表記されているが、当たらずとも遠からずというか、まあカタカナ表記としては妥当な線だと思う。「ビスチェリア」と書いているサイトもあるが、明らかな間違いだ。私がこのアルバムを購入したdisc union新宿jazz館に至っては「ビスケグリア」などと書いてある。もちろん間違いだ。
この人のピアノは、音数が少ない。とても少ない。非常に少ない。驚くほど少ない。本当に少ない。
時々思い出したように左手でコードを押さえてみたりもするが、基本的に右手だけで弾いているような感じだ。サボっているわけでは無く、右手のシングルノートに全身全霊の気迫が込められているのだ。だから音数が少ない割に、妙な「熱」がある。
フレーズも音色もクリアーで美しい。音の数は少なくても、スカスカな感じは無くて、却って音空間の心地よい「奥行き」が鮮明に感じられる。この快感は、ベースとドラムの良さにも支えられている。ベースはWerner Lauscher、ドラムはMarc Léhon、あいにく、どちらも知らない名前だが、二人とも素晴らしいジャズマンだと思う。どこがどう凄いって訳じゃないけど、地味〜に良い音を出している。付け加えて言えば、この二人も決して音数は多くない。
自身のオリジナル曲が中心だが、1曲目はチャーリー・ヘイデンの「Sandino」。地味に渋いところから入って来ます。そしてもう冒頭から、独特の粘っこい熱を帯びた静かなピアノトリオの世界。その硬質な哀愁は、ヨーロピアンジャズの正統な耽美感を継承しつつも、甘い叙情に流れ過ぎない。
パーカーの「Blues for Alice」ではゴキゲンにスウィングしつつ、やっぱり右手1本勝負。本当に徹底している。
バリバリのジャズファンからすれば容認出来ないのかも知れないが、私のような半端者には「ああ、やっぱりジャズは良いなあ」と心から思える一枚です。ジャケットも綺麗な、2007年のアルバム。
2曲目の「Out To Sea」が非国民のお薦め。静かに熱いハードボイルド風味。これぞジャズピアノの妙味。
それよりmyspaceに行ったら、いきなり昼間のFMみたいな音楽が鳴ったので驚きました。リズムも打ち込み?
うそっぽいワールドミュージックみたいな3曲目もガチャガチャ賑やかだし、トリオとの落差がおもしろいですなあ。
甘口ではないのが好感持てます。できればパーカーのブルースが試聴してみたかった。
きょうは 思いっきり眠ってるのにまた、、いきなりねむりそうになった・・・。ごめんよ。フェイさん。こんな野暮耳で(爆)・・・!
私もビシェーリャのアルバムはこの一枚しか聴いてないので、myspaceのページで聴こえてきた「昼間のFMみたいな音楽」には驚きました。ちょいと調べたところ、どうやら彼のリーダー作ではないようです。詳しくは分かりませんが、ベルギーのサウンドプロデューサーであるDirk Swartenbroeckx(なんて読むんですか?)のプロジェクト、Buscemiのアルバムにビシェーリャが参加しているということらしいです。聴こえてくる「obrigado」では、イザベル・アンテナが歌ってますね。
ちろさん
私も、お上品なラウンジミュージックなんかは、ちょっとアレですねえ。
あとここだけの話、お上品なラウンジミュージック大好物なんです、わたくし(笑)。
>お上品なラウンジミュージック大好物
うそぉ・・・