
ジャヴァン節に痺れる夏の夜
私とブラジル音楽との出会いは、意外と凡庸である。最初の一枚は高校生の時に聴いた「Getz/Gilberto」。スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトによる、あまりにも有名な一枚だ。名前だけは知っていたカルロス・ジョビンを初めて聴いたのもこのアルバムだから、なかなかに凡庸な出会いではある。時を経ずして聴いたのが、オスカー・ピーターソンの「Soul Español」。これは、今になって思えば微妙にブラジル物とは言い難いのだが、無知な高校生はその辺りのことを深く考えずに聴いていたらしい。
もうちょっとブラジルの音楽を聴いてみようと、今は無き六本木のWAVEで適当にジャケ買いしたのがトッキーニョToquinhoとジャヴァンDjavanだった。当時はMPB(Musica Popular Brasileira)なんて言葉はあまり知られてなくて、レコード屋では一緒くたに「ボサノバ」として並んでいたように記憶している。
高校生の私にとって分かりやすく取っ付きやすい「ブラジル」はトッキーニョの方だったが、結局聴いたのはその一枚だけだった。一方で、当初はあまり「ブラジル」を感じなかったジャヴァンの不思議な魅力に私はじわじわと惹かれ、その後も付かず離れずといった感じで聴き続けることになる。
そんなこんなの前史があって、2001年のこのアルバム。これがまた素晴らしい。驚くべきことに、あの美声は21世紀に入っても変わっていないのだ。
瞬時にそれと分かる特徴的なメロディと声。まさしくジャヴァン節としか言いようのない独特の世界が冒頭から繰り広げられる。1曲目の「Farinha」なんて、結構ロックなのに、それでいて、どこを切ってもブラジルの血が流れている。メロウなソウル調の2曲目、まったりボサの3曲目と、至福の時間が続く。タイトル曲の「Milagreiro」の味わいも、芳醇にして深い。8曲目の「Além de amar」は何とマーカス・ミラーとのデュオ。ジャヴァンの歌とギターに優しく絡むフレットレスベースが渋すぎる。
ポルトガル語の響きにこだわり、綺麗に韻を踏んだ彼の詞が、意味の分からぬ私の心にも南の風を感じさせる。まさに夏の夜の快楽である。
オフィシャルサイトでちょっと試聴出来ます。
http://www.djavan.com.br/main.php
(Main Page→Discografia→Milagreiro→Escutar)
(一度も行ったことはないがテレビで見たことあり)
懐かしい場所ですが、たしか前世紀のうちに閉まった筈です。
だいぶ後になってCD化された初期の作品にはシビレました。ジル・ジルベルトとこの人って、書く曲の方向性が似ているような気がします。声は断然ジャヴァンの方が好きですが。
トッキーニョと一時つるんでいたヴィニシウスのガマガエル声はちょっとしんどい(笑)。いや、大御所詩人であることに違いないのですが...。WAVEと言えば私の場合大学時代に通った池袋店です。マイルスとコルトレーンのブートを買いまくっていた恥ずかしい前科あり。
そうそうガマガエル声と言えば、先日ドリヴァル・カイミが亡くなったそうです。
渡辺貞夫御大とのライヴ2回行きました。
声はどことなく みなみらんぼう の、ような・・・
ジャヴァンはBEST盤を聞いたのみ申し訳無いっす!しかも途中で居眠りコキました・・・(爆) 心地良すぎ。言い訳でしょうか・・・(笑)?
何年かぶりに 明日、愛車の中で聴いてみよう。さあ、どうなるでしょ(笑)?
別にヨジレた攻め方をしてるという自覚はないので、育ち方がヨジレているのやも知れません。しかし「Luz」は傑作だと言われていますから、同志のヨジレ具合も捨てたもんじゃありませんよ。
私が最初に買ったジャヴァンは「Alumbramento」。この曲が気になって仕方なかったのが長い付き合いの始まりですかね。
http://jp.youtube.com/watch?v=foKnk7YD1mk
ちろさん
私はLPを全て手放してしまったので、今ではトッキーニョのアルバムを持ってないんです。イタリアのポップス歌手ロッサーナ・カザーレ(Rossana Casale)のアルバムで一曲デュエットしてるのがあったなあと思い出し、久しぶりに聴いてみました。トッキーニョさん、ポル語訛り丸出しの変なイタリア語で歌ってて、何だかとても不思議な響きです。もちろんメロディは甘くて甘いMaxコーヒーなトッキ節。これは意外と面白いかも。