またしても死刑が執行された。人を殺すことで問題の解決を図る社会を、どうしても私は好きになれない。
私たちの社会にとって宮ア勤とは何者だったのか。その答えを知ることも、もう出来ない。彼の行った犯罪行為から学ぶことなど何もない、そう言う人もいるだろうが、私は断じて同意しない。学ぶこと以外のいったい何が、私たちに可能だというのか。
それにしても「粛々と執行させて頂いた」と語る法務大臣の言葉の、何と気持ち悪いことか。いったい誰に対して何をへり下っているのだろう。そこには責任の主体を隠蔽しようという姑息な意図ばかりが垣間見える。こんな時だけ公僕面して、まるでこの殺人は社会の総意によるものだと言わんばかりである。むろんそれは一面の真実であり、私だって自分の手が汚れていないと主張するつもりは無い。だからこそ「執行させて頂いた」という言葉の気持ち悪さは堪え難い。
2008年06月18日
この記事へのトラックバック
宮崎勤死刑執行
Excerpt: 「慎重にも慎重な検討を加えた」死刑執行に鳩山法相 6月17日12時27分配信 読売新聞 鳩山法相は17日午前11時から、法務省19階で記者会...
Weblog: 水葉からの伝言
Tracked: 2008-06-20 08:03
「陸田真志も無となる」…思索を中断させられる
Excerpt: 血に飢えた不幸な大臣の思い込みでまた国家が人を殺した。 と、今回はいつものように「死刑執行」の批判エントリーを書く気にさえなれない。 昨日、殺された3人のなかの一人が知人だったからである。知人と..
Weblog: dr.stoneflyの戯れ言
Tracked: 2008-06-20 08:31
死刑の事実と因果
Excerpt: 過去に何が有ったとしても、その人がどのような人であろうと、 沢山の人間が1人の弱者を殺すというのが死刑の事実です。 その因果は必ず関係する人々を苦しめる。
Weblog: 政治
Tracked: 2008-06-20 16:59
鳩山さんに(ちょびっとだけ)賛成
Excerpt: 朝日「死に神」報道に法相激怒 「死刑執行された方に対する侮辱」(産経新聞) 元になった朝日新聞夕刊のコラムがネット上では見つからないので、産経新聞の記事から該当部分を抜き出します。 「死に神」と鳩..
Weblog: かめ?
Tracked: 2008-06-21 08:34
「死神」なんて誉めちゃダメ!!
Excerpt: 少し前の少年漫画のジャンルの偏りに もう、死神と退魔師ネタ禁止な!!! われもわれもと人気のネタに飛びつく節操のなさにあきれておったのですが、 朝日新聞がブームに遅れて、 法相まで死神扱いして誉..
Weblog: 絵ロ具。
Tracked: 2008-06-22 22:41
殺して得られるものは何か
Excerpt: 朝日新聞の「死に神」記事がまだ騒がれている。しかし、問題の肝心の部分をほったらかしにしたまま批判を楽しんでいるという感じがして、あまりいい気がしない。 13人の死刑執行を指揮した鳩山邦夫法相。死に神..
Weblog: Muse on Music.
Tracked: 2008-07-08 13:56
死刑制度のアンケートがあったが。。。
Excerpt: くだらなすぎる。 自分の知識のなさと自分の思いでもってアンケートを誘導しようとしている。 死刑についてのアンケート やろうと思ったが選ぼうとする項目がなさすぎる。 ..
Weblog: ろーりんぐそばっとのブログ
Tracked: 2008-07-14 20:11
あるのは
「まあ怖い」「うわキモい」「信じらんない」「許せない」etc.
のマスヒステリーだけ。
それにしても、
裁判官は法律で決まっている以上、最初から死刑の適用をしない前提で量刑を決める訳にはいかないし、
死刑の確定判決が出たときに、行政府が恣意的に執行をしないでおくのは三権分立に抵触するだろうし、
この国で死刑をなくすには『国権の最高機関』であるところの国会の立法活動によるしかないはずなんですが……。
肝心の立法府がお寒いですねえ。
ま、「そんな議員、誰が選んだねん?」ってツッコミが入ったら、何とも申し開きのしようがありませぬが。
「まあ怖い」「うわキモい」ある意味そう思うのも仕方が無い面はあります。でも、そうした怖くてキモい存在も含めて「私たちの社会」だと考えるのか、殺して埋めて事足れりとするのか、その違いは大きいと思うんです。
聞こえてくるのは『犯人の残虐さ』や『人権』やらについての感情論と言い争いばかり。
「おい、何かいい方法がないか考えてみようぜ」というのが民主主義の醍醐味なんですけどねえ。
まさしくそれが、私たちがこの国の主権者として生きるということなんでしょう。そもそも私たちに主権があるというのはどういうことなのか、(何だか書いてて情けなくなってきたけど)もう一度そこからじっくりと考える必要がありそうです。
あの人の顔と物言いをテレビで見る度に、たとえば貴乃花親方の目付きに似た、何かに憑かれた人と対峙した時のような絶対に縮まらない距離を感じて虚しくなります。
殺人によって問題の解決を図るという意味において、戦争と死刑は同根だと思うんです。いみじくもYさんが「マスヒステリー」と評した通り、そこには何かが取り憑いているのかも知れません。
鳩山法相の言葉、「正義」がとても白々しく聞こえる、というより、
彼が言うと怒りがこみ上げてきます。
「正義」を愚弄するなと。
この世に絶対的正義は存在しない。
善と悪の中間で揺らめく正義は、常に「価値観」を基に形作られる、相対的正義のみ。
そして、本来「感情・感傷」を持ち込んではならない「法律」に自己満足的に持ち込む。
正義は自分ではなく他人が決めること。
それを持ってはならない立場の人間が身勝手にそれを騙るな と。
正義(民主主義で言えば最終的には国民)が歪めば公権力も歪む。
歪んだ公権力からこれまでの歴史の中でどれだけの悲劇・惨劇が繰り返されてきたのか、
これまで学んできた歴史を振り返れば誰でもわかること。
その恐怖にさえ気づかず、現在の死刑制度を安易に、
かつ当然のごとく受け入れられるような人間がいること自体、驚きを禁じえない。