
いと悩ましき中東事情。
かのjabberwock翁も悩殺されたというHoda Haddad・・・とは別人の可能性が高い、もうひとりのHoda Haddad。レバノンの歌手で、これは2007年に出たファーストアルバムらしい。
7曲とオマケのremixが1曲。全部聴いても30分ちょっとだから、ミニアルバムって感じだが、その奥深さは、なかなかに悩ましい。いったいレバノンというところは、どうなっているのだろう。
本人のオフィシャルサイトで一通り試聴出来る。
基本的には欧米路線のポップスなんだけど、そこかしこに濃厚なアラビックフレーバーが漂う。その大胆過ぎる匙加減の意図が汲み切れないのだ。敢えて狙った結果なのか。イケナイとは思いつつ地が出てしまうのか。全く無自覚のうちに伏流水が染み出して来るのか(まさかそんなこともあるまいが)。あるいは単に、この辺りが今どきの売れ線なのか。
例えば6曲目のKolly Thanyah。とにかくまあ、ベタというかキャッチーというか、分かりやすいというか。いや本当に分かりやすいんだけど、あまりに分かりやす過ぎて、かえってその真意を測りかねるのだ。それもまた音楽を聴く愉しみなのだと達観するしか無い。
分からないと言えば、そもそもアルバムタイトルの表記が分からない。本人のサイトでは【Chou Amel Hal Helo】と記されている(本記事はこれに則っている)が、私が購入したHMVさんのサイトでは【Shu Aamel Hal Hilou】とある。アラビア語にラテン文字の正書法が無いのは分かるが、もう少しどうにか統一出来ないものだろうかと思う。ちなみに、いま私の手許にあるCDにはどう書いてあるかといえば、これが何とアラビア文字オンリーである。もちろん読めない。ああ、いと悩ましき中東事情。
中身に関しては、ダンサブルなポップチューンからしっとりと聴かせるバラード調までバランスよく配されていて、飽きさせない創りになっている。全部聴いても30分と短いので、ついつい繰り返して聴いてしまう。
こちらのサイトでは一曲まるごと聴ける。2曲目のMa Yehkomshyや3曲目のShw Aamel Hal Hellwの大胆過ぎる匙加減には、ただただ圧倒されるばかり。どういうわけか曲名だけはCDの裏ジャケにローマ字表記があって、3曲目がタイトルナンバーだと思われるが、それにしてはまたしても微妙に表記が違う。本当にどうなっているのか?
私が一番好きなのは5曲目のAlby Elly Kan。こういうのを聴くと、日本語の情報では全く素性の分からないこのHoda Haddad、歌手としての実力も相当なものだと思う。
何から何まで分からないこのアルバム、分からないなりに、しかし間違いなく「いい音楽」です。
でも、私が悩殺されたのは、たぶん別人。
ちなみに、こんなニュースもありました↓
http://www.afpbb.com/article/entertainment/music/2331551/2490344
しかし、レバノンとは・・・・世界は広い!
まったくもう、jabberさんのせいで出費はかさむし、稲田さんのせいで映画は見れないし、昨日は台風でズブ濡れだし・・・
それはそうと、紹介してもらったニュースには「レバノン出身歌手のHoda Haddad」とありますねえ。いまCDの裏ジャケを見たら、Published by Al Reef Art Productionと書いてあって、ちょいと調べてみたら、これはアブダビの会社でした。実は「レバノンの歌手」では無いのかも知れません。
なんせインナーは全部アラビア語なんで、詳しいことは何も分からないんです。
いや、それは同志が本文で述べていることだし、なんすかねー?
5曲目の( )がもっとも日本人の琴線に触れる曲だと思いますが、
ストリングスの語尾が微妙に下がったり下がらなかったり、
全体的に尻の穴がムズムズするような耳の穴がコソバユクなるような、むむー、なんすかねー?
まとまらなくてスミマセンです。まだまだ私も修行が足りませぬ(笑)。
日本人の琴線・・・ですか。非国民が言うと説得力がありませんが、そうかも知れませんね。
もっとも、アラブ(の古典)音楽というのは、もともと1/4音を厳密に譜面として記述し得る精緻な体系で、たった5音の音階で成立しているアジア民謡とは根本的な断絶があるんですよね。気持ちよくコブシを回しているように聴こえても、それは最初からそういうメロディとして作曲されている可能性も高いわけです。そういう意味では意外と歌手の自由度は低いし、「上手い歌手」の条件もアジア圏とは大きく違っている筈なんです。
その辺は、私も修行が足りないので、全然分かりません。
で、音楽理論に関しては古代ギリシアの理論を受け継ぎ、それが特にイランの地で発達しました。というわけで、現在イスラーム音楽と言われているものの根幹にはイラン文化があると言って良いでしょう。
微分音に関しては「ザルザルの中指」が有名。ザルザルというのはイランの有名な理論家にして弦楽器弾き。
>宗教音楽がない
たしかに言われてみればそうでした。中東の音楽は基本的に世俗の大衆文化なんですね。問題はウケるかウケないか、売れるか売れないか。そんな健全さを、このアルバムからも感じます。
で、内向的な音楽を探してみると、往々にしてスーフィーという「異端」に辿り着くわけですね。
あなたに異端呼ばわりされるなんて、スーフィーはなんて可哀想なんでしょう!!
ということは、あなたは自分で自分のことを誉めているのですね。