2008年02月18日

Ulytau【Jumyr-Kylysh】

jumyrkylysh_cover.jpg
中央アジアのヘビメタバンドは津軽三味線の夢を見るか

カザフスタンのフォークメタル(なんじゃそりゃ)バンド、Ulytauの一枚目。2007年のアルバムだ。

細分化されたメタルのジャンルなんて全然分からないし、どれもうるさいだけだし、だいたいメタルは好きじゃないんだけど、コレは面白いと思う。たしかにこりゃフォークメタルだわ、と納得せざるを得ない強烈なインパクトだ。全編インストというのも強気である。

6人バンドで、編成は、ギター、ベース、ドラム、キーボード、バイオリン、津軽三味線ドンブラ。そう書いてあるんだけど、ジャケットにはギター、バイオリン、津軽三味線ドンブラの3人しか写っていない。PVに出てるのも、この3人だけなので、残りの3人はサポートメンバーに近い位置づけなのかもしれない。デビューして間もないバンドだし、なんたってカザフスタンだし、その辺の事情はよく分からない。

分からないと言えば、ジャケットのマトリックスみたいな衣装は何なんだろう。勝手な憶測だけど、遊牧民のスタイルにメタルの記号を加味したんだろうか。

ところでドンブラとは何なのか。dombra。このアルバムを聴くまで私も知らなかったくらいだから、あまりメジャーな楽器ではないんだけど、カザフの民族楽器で、サズに似た形の2本弦。見た感じも音色も中近東系なのに、何の因果か、これが私には津軽三味線に聴こえて仕方がない。

それにしても、この楽器編成は凄いと思う。例えば彼らのHPで試聴出来る一曲目の「Adai」。ロックなリズム隊に叙情的なバイオリンが絡まって妖艶な盛り上がりを見せたところへ、さらに暴力的なスケールで津軽三味線ドンブラが斬り込んで来る様は圧巻と言う他無い。この辺りのアレンジは相当に練られていて、安直な思いつきの編成では無いだろう。エスニックな味付けの域を超えて、アンサンブルとしてカッコいいのだ。

タイトル曲の「Jumyr-Kylysh」も良い。少々大げさに過ぎる点はあるが、まあそれがフォークメタルなんでしょう。とにかくこの疾走感は並大抵ではない。頭と終わりの綺麗な声は、バイオリンのNurgaisha Sadvakasova。

意味不明なPVも面白い。この曲では唐突にアラビア音階が割り込んで来る。

中近東と津軽とヨーロッパが無節操に交錯する独特の世界。個人的にはロックじゃなければもっと良かったんだけど、これはこれで、なかなか心地良い一枚です。

検索用;Группа,Аудио-видео,Жумыр-Кылыш
posted by 非国民 at 12:29| Comment(9) | TrackBack(0) | 音楽;中央アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>意味不明なPVも面白い。
ウン、面白かったです。バイオリンをギコギコしながら腰をグラインドするおねーさんにシビれました(笑)。
メタルっちゅうより、プログレ愛好家にアピールしそうな音楽ですね。たぶんエレキ弾いてる人が全体のサウンドを作ってるんじゃないかなあ。
ドンブラなる楽器の人は中央アジアのフォーク・ミュージックに詳しそうだし、えーとカズフスタンのアルフィー?
勢いは伝わってくるし楽しいんだけど、リズムが平坦なのがちょっと残念かなあ。
Posted by やきとり at 2008年02月19日 01:02
やきとりさん
PV面白いですよねえ。理不尽にマッチョなイメージの噴出と芳醇なアラビックフレーバーの織りなすハーモニーが新鮮です。

カザフスタンは、中央アジアでは最もヨーロッパ文化の浸透しているところだそうで、たしかにトラッドなフォークにも結構な頻度でバイオリンが入ってます。ロシア人も多いし、深く根付いているんでしょうか。一応はイスラム圏なんでしょうけど、そういう堅苦しさは無くて、世俗の快楽に寛容な社会みたいです。ポピュラーミュージックの質も極めて高く、私は最近ハマってます。なかなかCDが手に入らないんですが。

一方で、これは私の気のせいかも知れませんが、やたらと殺伐としたPVが多い。カザフ語もロシア語も分からないんで何を歌ってるのか知りませんが、何かというと剣を振り回して血が流れる。そういう歌が多いのか、遊牧民の文化なのか。

おねーさんの腰にシビれたやきとり同志には、こんなのどうでしょう。これは私もシビれます。
http://www.youtube.com/watch?v=kgzKQYUm3gQ
カザフスタンは美人が多いことでも有名で、やっぱり「東西文明いいとこ取り」の地は、必然的にそういうことになるんだなあと、羨ましい限り。
Posted by 非国民 at 2008年02月19日 05:47
そろそろ寝ようと思ってたのに目が冴えちゃいましたよ! まったくもう(笑)。 つーか笑い転げてしまいました。こりゃエロワラです。
昨今のエロカワだのエロカッコイイだのは邪道で、エロと言えば笑いと密着してたのが我が国の伝統文化ですからねえ。
すなわちストイックな愛国心などニセモノなのです! まあ、世界各国の美女に変身していく最後のクダリは圧巻ですな。
意味分んないスけど(笑)。
Posted by やきとり at 2008年02月20日 02:21
やきとりさん
エロワラですか!
私は笑いながらも、素直にカッコいいと思いました。意味分かんないスけど。
このAyariさん(現地ではАяриと書くらしい)、すごく気になってるんだけど、全く情報が無い。どうにかしてアルバムとか手に入らないかなあ。
Posted by 非国民 at 2008年02月20日 18:52
カザフのフォークメタルと来ましたか。
疾走感が気持ち良すぎです。森メタルの次は草メタルがくるかも知れませんなあ。
中央アジアと言えばやたら汗臭い漢(と書いて”おとこ”と以下略)を連想させるのですが、この↓グルジア人どもの汗臭さにもやられました。かっこ良すぎです。(ワイヤーアクションは余計ですが。Georgian legendというダンスショーのPVのようです。)

わたしも手持ちのカードを。
世界最古のマーチだと言われてるトルコのメフテルの名曲ジェッディン・ディディンをハードロックアレンジしてしまったトルコ人バンドのダサかっこよさにどこかでCDは入手出来ないものかと調べてるところです。
http://www.youtube.com/watch?v=2jPtrj_FeEk

セカンドライフのトルコ人コミュニティに行きその辺にいるトルコ人たちにこのバンドのことを聞き回りましたが、おかげで忘れかけていたインターネットというもののすごさを思い知らされました。もっともそこにいた中でかろうじて私の拙い英語が通じた人は「俺はロックは聴かん!」とのことでしたが。
Posted by SIVA at 2008年02月23日 08:50
グルジアのアニキ達のURLを貼るのを忘れてましたあ!http://jp.youtube.com/watch?v=OOOa-8qO38A
Posted by SIVA at 2008年02月23日 08:51
SIVAさん
森メタル! 草メタル! なんじゃそりゃ!!!

Georgian legend、聴きました。いやあ汗臭いですねえ。もっとも、これはリミックスの産物で、歌そのものは割とオーソドックスなグルジアンコーラスみたいですね。合唱と言えば男、てのがグルジア人のオソロシイところです。

Zafer İşleyenも聴いてみました。これは、おおお、ターキッシュ・ハード民謡ロックだ。無駄に情緒溢れる下品な笛の音がたまりません。ストラトにワウまで掛けて、どういうつもりなんだろう。
そんなSIVAさんはDestanなんかどうですか。
http://www.youtube.com/watch?v=gbCdhPPhYZ0
残念ながら、これもCDの入手は難しそうです(私も持ってません)。

ついでに森メタル(なんじゃそりゃ)をひとつ。
Korpiklaaniというフィンランドのバンドで、こいつらは本当に馬鹿かも知れません。
http://www.youtube.com/watch?v=OIc4VHxU7iM
これも私としては、ロックで無ければもっと良いのに思いますが、あの枯れたバイオリンは伊達や粋狂じゃ無さそうです。ロックじゃ無くても良いのに。
気持ちは分かるんですが、こういうの聴くと、音韻的にロックに向かない言語って、やっぱりあるんだなあと思います。膠着語のぺたぺたした響きが何ともかわいくてもう。
Posted by 非国民 at 2008年02月24日 00:52
Destanて言われてもすでにどこの国かもわかりませんがな。これもトルコなんですか?
なんですのん、この叙情あるのかないのかわからん微妙具合さは。
なんだかロックアレンジのカッワリーみたいですねえ。

でコルピはもちろん押さえていますとも!
フィンランドには彼らに負けず劣らずPVがバカなんがいてます。
昨年来日したFinntroll、もうやりすぎてわけわかりません。
http://www.youtube.com/watch?v=d3u86DPd7qc
Posted by SIVA at 2008年02月24日 04:09
SIVAさん
Destanもトルコのバンドです。思いのほか育ちのよさそうなインテリ顔の3人組で、粗暴な演奏との落差に驚きますが、本当は叙情的な歌曲を真っ当に聴かせる実力も持っています。
http://www.youtube.com/watch?v=FNvj1NpjG8w
彼らの場合は、ハードロック化の推進によって明らかにカッコ悪くなっている訳で、いったい何が不満なのか問い詰めたいところです。

Korpiklaaniを御存知とは失礼しました。私は岩とか金属の方面に疎いのでよく分かりませんが、有名なバンドなんでしょうか。

ご紹介頂いたFinntroll、さっそく聴いてみました。
何と言いますか・・・まったくもう、どいつもこいつも。どうしてそんなにロックしたいんでしょう?
Posted by 非国民 at 2008年02月24日 23:56
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