
ああ禁断の偶像崇拝
実を言うと、私は音楽にさほど金を使っていない。さほどと言っても人それぞれだろうけど、例えば、私がCDに費やす金は書籍に費やすそれよりも、ずっと少ない。そもそも使える金の絶対額が知れているのだから、CDを買う金など微々たるものだ。広く浅くを目指しているので、特定のジャンルやアーティストを深追いすることも滅多に無い。
それでも、新譜が出ると試聴もせずに迷わず買ってしまうというアーティストが若干あって、その筆頭が王菲(Faye Wong)なのだ。DoX兄貴がキイキイ言うておられるが、私にとっては問答無用のアイドル。この病を東洋医学では「菲迷」と呼ぶ。
例によって一枚に絞るのは非常に難しいんだけど、まあ強いて挙げればこの【只愛陌生人】。1999年のアルバム。もうそんなに前になるのか。でも本当に、この頃のフェイ・ウォンは凄い。1997年のセルフタイトルアルバム【王菲】から2001年の【萬言】あたりまでは、どれを聴いても外れは無い。
【只愛陌生人】は菲迷の間でも評価の分かれている作品らしい。地味と言えば地味で、特徴の捉えにくい所はあるんだけど、バランスの取れた良いアルバムだと思う。これぞ中華ポップという名曲が並ぶ。そこには、歌手としてのフェイ・ウォンの魅力が充分に詰まっている。
中でも一番好きな曲は「催眠」。名曲中の名曲だと思う。何だろう、この切なさは。暗い訳じゃ無い。悲しいというのとも違う。ただ淡々と切ない。
「當時的月亮」なんかも良いなあ。サビのメロディが壮絶に美しい。ふわふわした感じの中にも不思議な艶を持った彼女の声質がぴたりとハマっている。
70年代ポップスに冒された脳は、こういう音に弱いのかなあ。
基本的には北京語のアルバムなんだけど、最後に二曲だけ広東語バージョンが収録されている。良くあるパターンだ。中国語には声調があって、声調に逆らうメロディを付けると言葉の意味が変わってしまうので、同じ曲でも北京語と広東語では違う歌詞が付いている。歌詞が違うのでタイトルも違う。時にはアレンジも違う。
商業的には広東語バージョンを入れたいって気持ちも分かるけど、アルバム一枚ぼーっと聴き流す時には邪魔なんだよねえ。それに、やっぱり王菲の歌は北京語の方が綺麗な気がする。
よっぽど「洋楽」の味がしますな。歌謡曲だけを聴いて育った奴が歌謡曲を作ってるような水っぽい味がコムロだとすれば、
フェイさんの音楽は、中華味をベースにしっかりと洋楽のダシが効いてる感じがします。
洋楽のダシですか。それは気付きませんでした。私にとっては王菲こそが中華ポップの入口だったもんで、いかにも王菲=いかにも中華ポップ、なんですね。
ちなみにこのアルバム、二枚組かと見せかけて、片方はおまけのVCD。時代を彷彿とさせます。日本では全然流行らなかったVCDですが、香港や東南アジアでは相当普及したようで、当時はいろんなアルバムにやたらと付いてました。
こっちの途中パートの中華っぽいイメージしかなかったんで
http://www.youtube.com/watch?v=FFb4gEINT-g
本来は中華ポップなんじゃなあ、いろいろできる人なんじゃなあと興味を・・・
そんでも「令狐アニキが王菲の夫」扱いはやっぱりヒドイーー。しくしくしく。
私にとっては、まるっきりポップスの人なんですよねえ。「都会の音」ってイメージが強い。このアルバムの一曲目なんて相当イッてます。
http://www.youtube.com/watch?v=LLrdI6mJOYI
なんで、紹介してもらった絵はかえって意外でした。もちろん菲迷としては、これもありなんですが。
そして
>「令狐アニキが王菲の夫」扱いは
私もヒドイと思います。人を紹介するのに、そりゃないだろ。