2007年08月07日

Rosenbergs Sjua【R7】

r7.jpg
世にも不思議な室内楽。

さてRosenbergs Sjuaとは何ぞや。スウェーデン語だが、英訳すればRosenberg's Septet。すなわちローゼンバーグ七重奏団なのだ。

リーダーのSusanne Rosenbergはスウェーデンのトラッド歌手。伝統音楽のみならずバロックからジャズにまで通じた彼女の、これは驚嘆すべきプロジェクトである。4人の女性ヴォーカルにフィドル(ヴァイオリン)、ヴィオラ、チェロを加えた7声ポリフォニー・アンサンブルなのだ。
ジャケットには8人写っているが、ヴィオラだけ担当が二人いて、曲によってどちらか一人が演奏している。何でそうなっているのかは全く分からない。

スウェーデンのトラッドは、もっぱらソロで歌われ、通常は1本か2本のフィドル(ヴァイオリン)だけで伴奏されるシンプルなものだ。
一方で、それとは別にスウェーデン〜フィンランド・スタイルのポリフォニーという伝統も存在している。
この七重奏団は、その両者にインスパイアされつつ、全く未知の世界を創り出している。古いスウェーディッシュ・トラッドの旋法と歌唱法をベースにして、ポリフォニックに再構成された新しい音楽なのだ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成も、いわば伝統の拡張と言えるだろう。

ドラッド・フォークのようでありながら、同時に室内楽でもある。
そして、紛れもないヨーロッパの音楽でありながら、その響きには、どこか強烈な「非ヨーロッパ」が感じられる。

世にも不思議な北欧トラッド風7声ポリフォニー室内楽。
HPで試聴出来ます。未知なる響きを御堪能あれ。
http://home7.swipnet.se/~w-71001/pages_uk/samples_frame_uk.html

ちなみにサンプルの二曲目「Min Bröllopsdag/My Weddingday」で即興的に発せられている奇声はKulningと呼ばれる伝統的な唱法で、もともとは牧畜農家の娘さんが羊を呼び集める時の叫び声。何キロも先まで聞こえるという。


検索用;Min Brollopsdag
posted by 非国民 at 21:38| Comment(3) | TrackBack(0) | 音楽;北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あぁ、これね。相変わらずマニアックだね。この女性ヴォーカル、坂本龍一が日本に呼んだことがあります。日本ではMAレコーディングズ(ボグダノヴィッチのCD出しているところ)が輸入していました。

http://www.archi-music.com/puremusic/column/column3_6.html

これもお勧め。メンバーも一部重なっている模様
Posted by 黒木 at 2007年08月08日 09:45
女声ヴォーカルはブルガリアのコーラスを彷彿とさせますねえ。試聴先の3つ目の無伴奏のヤツなんてモロかもです。
1曲目の感じは、何年か前にたまたま買ってハマった「ヴェーセン」というバンドを思い出しました。
もう売っちゃたんですが、あれは北欧のどっかのグループでしたっけ?  うーん、ヨーロッパの民謡も勉強しなきゃ!
Posted by やきとり at 2007年08月08日 20:52
やきとりさん
ポリフォニックコーラスといえばブルガリアのそれがよく知られていますが、私はむしろフィンランドのヴァルティナVärttinäに近い雰囲気を感じました。
ヴェーセンもスウェーッデンのトラッドフォーク系バンドですね。私が知ってるくらいだから、そこそこ有名だと思いますよ。
Posted by 非国民 at 2007年08月09日 01:27
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