
世にも不思議な室内楽。
さてRosenbergs Sjuaとは何ぞや。スウェーデン語だが、英訳すればRosenberg's Septet。すなわちローゼンバーグ七重奏団なのだ。
リーダーのSusanne Rosenbergはスウェーデンのトラッド歌手。伝統音楽のみならずバロックからジャズにまで通じた彼女の、これは驚嘆すべきプロジェクトである。4人の女性ヴォーカルにフィドル(ヴァイオリン)、ヴィオラ、チェロを加えた7声ポリフォニー・アンサンブルなのだ。
ジャケットには8人写っているが、ヴィオラだけ担当が二人いて、曲によってどちらか一人が演奏している。何でそうなっているのかは全く分からない。
スウェーデンのトラッドは、もっぱらソロで歌われ、通常は1本か2本のフィドル(ヴァイオリン)だけで伴奏されるシンプルなものだ。
一方で、それとは別にスウェーデン〜フィンランド・スタイルのポリフォニーという伝統も存在している。
この七重奏団は、その両者にインスパイアされつつ、全く未知の世界を創り出している。古いスウェーディッシュ・トラッドの旋法と歌唱法をベースにして、ポリフォニックに再構成された新しい音楽なのだ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成も、いわば伝統の拡張と言えるだろう。
ドラッド・フォークのようでありながら、同時に室内楽でもある。
そして、紛れもないヨーロッパの音楽でありながら、その響きには、どこか強烈な「非ヨーロッパ」が感じられる。
世にも不思議な北欧トラッド風7声ポリフォニー室内楽。
HPで試聴出来ます。未知なる響きを御堪能あれ。
http://home7.swipnet.se/~w-71001/pages_uk/samples_frame_uk.html
ちなみにサンプルの二曲目「Min Bröllopsdag/My Weddingday」で即興的に発せられている奇声はKulningと呼ばれる伝統的な唱法で、もともとは牧畜農家の娘さんが羊を呼び集める時の叫び声。何キロも先まで聞こえるという。
検索用;Min Brollopsdag
http://www.archi-music.com/puremusic/column/column3_6.html
これもお勧め。メンバーも一部重なっている模様
1曲目の感じは、何年か前にたまたま買ってハマった「ヴェーセン」というバンドを思い出しました。
もう売っちゃたんですが、あれは北欧のどっかのグループでしたっけ? うーん、ヨーロッパの民謡も勉強しなきゃ!
ポリフォニックコーラスといえばブルガリアのそれがよく知られていますが、私はむしろフィンランドのヴァルティナVärttinäに近い雰囲気を感じました。
ヴェーセンもスウェーッデンのトラッドフォーク系バンドですね。私が知ってるくらいだから、そこそこ有名だと思いますよ。