
信念の民族ゲルマン人が本領を発揮する。
マイク・オールドフィールドの名曲「Tubular Bells」全曲を、最初から最後まで二本のクラシックギターだけでカヴァーしてしまおうという、途方も無い企画である。
Duo Sonare。
Thomas Offermann、Jens Wagnerというドイツ人の二人組である。
私も詳しいことは知らないが、HPによれば二人ともクラシック畑のギタリストで、音楽学校の教師でもあるらしい。このアルバムも1996年にMDGというクラシック専門のレーベルから出ている。
さて「Tubular Bells」といっても、若い人はエクソシストのテーマとしか思ってないかも知れないが、気が遠くなるような多重録音が施された50分近い大曲である。それをクラシックギターだけで、どこまでも緻密に再現しているのだ。
これが実に良い感じである。
冒頭からクラシックギターの音色が見事に楽曲と解け合い、これはもう最初からこういうギター曲なのだという気にさせられる。
彼らのHPでサワリだけ試聴出来ます。
オリジナルは、エレクトリックギターに様々なエフェクターを掛けまくり、ピアノやオルガンまで使って構成されているが、Duo Sonareの二人は、一歩も引かずに立ち向かう。ピチカート、トレモロ、ハーモックスは当然、ラズゲアード(フラメンコのようなかき鳴らし奏法)、タンボーラ(ギターそのものを叩くパーカッシブな奏法)、果ては、クラシックギタリストにあるまじきチョーキングまで駆使して、実直かつストイックな50分が展開しているのだ。
もちろん、音色は全然似てないが、やりたいことはとっても良く分かる。それほどの「律儀さ」なのだ。
そして驚くべきことに、これほどの無茶をやらかしながら、音楽として素晴らしく高い完成度を具現している。決して安直なカヴァーではないし、オリジナルを知らなければ楽しめない、ということは全く無い筈だ。
実を言えば私自身、Mike Oldfieldのオリジナルよりも、こちらを聴くことの方が多いぐらいなのだ。
まさしく、名曲の名演である。
不屈のゲルマン魂ここにあり。
さておき、これは聴いてみたいです。イーノの『空港の音楽』を、NYの現代音楽グループが完コピしたヤツを思い出しました。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/628776
これは面白綺麗ですね。御紹介ありがとうございます。
さっそくええかげんにせえHMVに注文しました(勢いで流線形の一枚目も)。
御存知かもしれませんが、Alexander Balanescuが弦楽四重奏でテクノポリスやライディーンをやってまして、私はこれもオリジナル以上に好きです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/363857
選曲もコテコテですね。元ネタのコテコテ3連チャンでエゴダンスが入っていない点だけ残念!
それにしても弦だけのインソムニアとキューが気になるなあ。週末新宿に出る予定なので探してみます。
>勢いで流線形の一枚目も
私らの世代の弱点(一番デリケートな部分)を狙い撃ちしてきますもんね(笑)。ちなみに一枚目のボーカルはサノトモミさんという人で、
流線形がバックバンドをつとめたソロアルバムも出ておりますぜ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1512804
>弦だけのインソムニアとキューが気になるなあ。
良いですよお。オススメします。
サノトモミさんのソロも凄く気になります。
ただ、私が流線形の新作よりも一枚目を良しとする大きな理由は、ヴォーカルが前に出て来ないって点でして、その辺がどうなのかなあと、気にはなります。
私も「歌」が分かってないのかも知れません。
http://www.aprilrecords.jp/post.html
「サイレントフライト」試聴してみました。これも良いですね。おっさん趣味を直撃。歌に伴奏を付けるのではなく、インスト曲に歌を乗っけたようなアレンジとミックスの感じがステキです。
シャカタクを今聴くと恥ずかしくて仕方がないのですが、これは落ち着いて聴いていられます。世代の問題というよりも、ジャズ好きには許し難い何かがシャカタクにはあるんですよね。