

百年に一度の天才が火花を散らすアドリブ真剣勝負
いやはや何とも、冗談抜きに火花が散りまくる豪快な一枚である。
東西二人の天才が、その全てを出し切って丁々発止のアドリブ合戦を繰り広げる贅沢なセッションなのだ。
知る人ぞ知る二人である。
木下伸市。百年に一度の天才と言われる津軽三味線の名手だ。現在は木乃下真市と名前を改めて活動中である。古典の演奏だけにとどまらず、ポピュラーミュージックへの積極的なアプローチを通じて、津軽三味線の可能性を開拓し続けている。
対するはロビー・ラカトシュRoby Lakatos。ステファン・グラッペリの再来とまで言われるジプシー・ヴァイオリンの鬼才である。ハンガリーの出身で、現在はベルギーのブリュセルを拠点に世界中で演奏活動を行っている。奇怪な風貌と、この世のものとも思われぬ超絶技巧から「怪人」とも「悪魔のヴァイオリニスト」とも称されているが、その高い音楽性には、ジャズ、ポピュラーのみならずクラシック界の音楽家も賛美の言葉を惜しまない。
リズムセクションも強者揃いだ。
ピアノはカールマーン・チェーキKálmán Cséki、ベースはオスカール・ネーメトOskár Németh、いずれもラカトシュ・アンサンブルのレギュラーメンバー(当時)であり、クラシックとポピュラーの双方に通じた達人である。特にピアノのカールマン・チェーキは、一流のジャズピアニストでもある。このアルバムでも、時折ドキッとするようなコードを叩き出したり、とんでもないピアノソロを弾き倒したりしている。
そしてパーカッションは、日本の誇るタイコ界の重鎮、仙波清彦。天才同士のスリリングなアドリブ合戦を、時には鎮め、時にはさらに煽りつつ、独特の妖気漂うグルーブ感でぐいぐいと牽引する様は、さすがと言う他ない。この大役が務まる者は、ちょっと他にいないのじゃなかろうかと思わせる好演だ。
曲目は木下のオリジナルが2曲、ラカトシュのオリジナルが2曲、ロマ(ジプシー)に伝わる民謡が1曲、クラシック(モンティのチャルダーシュ)1曲に、木下とラカトシュ二人だけのフリー・セッションが1曲。
ジャズ調のアプローチあり、ルンバあり、スカっぽいリズムもありと、多彩な構成で飽きさせない。
生まれも育ちも全く違う二人であるが、津軽三味線とジプシーヴァイオリン、ともに漂泊の放浪芸をルーツとするという点では深いところで繋がるものがあるように思われる。そして磨き込まれた即興性も。しかし、そんな野暮な詮索をしてる場合じゃないのかも知れない。何といっても、このセッションは「さあ、オレのアドリブに付いて来れるかな?」という気迫に満ちた真剣勝負なのだ。
タイトル曲の「So Gu」が圧巻。この熱さは半端じゃない。
2002年の作品だが、残念なことにあまり知られていない。多くのCD屋では「純邦楽」という冴えない一角にひっそりと置かれているのだ。これはジャズのコーナーにでも並べておくのが正しいと思うのだが、どうだろうか。
検索用;Kalman Cseki, Oskar Nemeth
音楽的センスを持ち合わせていませんが
読んでいると聴いてみたくなります・・・・
でも、ジャズのずれたテンポが私の神経を逆撫でするので
無理かな?
でも、興味有ります。
はじめまして。
ええかげんにせえHMVのサイトでサワリだけ試聴出来ます。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/686606
あまりにもサワリだけなんでイライラしますが、まあ試しにどうぞ。
なかなかですね。
DVDで演奏を見ながらゆっくり聴いてみたくなりました。
出ないかしら?
なかなかでしょう?
DVDは私も見てみたいですが、まず出ないでしょうね。
ちなみにラカトシュ・アンサンブルの演奏なら、オフィシャルサイトで見れます。例えばこんなのとか。
http://www.robylakatos.com/audio%20en%20video/video04.mpg
本当に怪人ですねえ・・・
イロモノというか器用貧乏の人と思い込んでました。仙波師匠は大好き。tigerだと試聴できないので職場で聴いてみます。
それにしてもエイベックスってのがスゴイですね。居酒屋が、もうかりそうだから介護事業やるのと一緒かしらん。
>膨張したダリみたいな
わはは、言い得て妙というか、たしかにその通りですね。3枚もアルバム持ってて今まで気付きませんでした。
仙波師匠、きっちりと良い仕事してます。彼もまたクラシックとポピュラーに通じた達人ですね。
それにしてもavexさんは手広くやってますねえ。スゴイと言いたいところですが、このアルバムはCCCDなので凄くありません。こういうものこそ音質重視でお願いしたいものです。ちなみに今、avex ioのサイトを見てみたら、トップに渋さ知らズが載ってて腰を抜かしました。