2007年05月15日

和田アキ子【リズムアンドブルースの女王。】

queenofr&b.jpg
アルバムタイトルに偽り無し、である。2006年発表の大傑作。


今回はjabberwockさんの悪徳商法に真っ向から反撃してみた。

和田アキ子。何となく気になるんだけど、そう言えば、ちゃんと聴いたことはないなあ・・・というヒトに、間違いなくオススメな一枚。90年代後半以降に録音されたR&B志向の曲を中心に編集されたベストアルバムである。
間違いなくこれは買いだ。

和田アキ子のアルバムは何故かすぐ廃盤になる。
これまでに実に多くのアルバムが出ているのだが、現在入手出来るものは本当に少ないのだ。てなわけで、これは買わなきゃヤバイですぜ、旦那。

それにしても、いったい何者なんだろうか和田アキ子というヒトは。怒濤のごときソウルパワーの奔流に、ただただ圧倒されるばかりなのだ。凄い・・・って言うか「すげぇー」のだ。
身体の造りが凡人とは根本的に違うのかも知れない。何を食ってたらこうなるんだろう。

こちらで、ちょっと試聴出来ます。さあ、あなたも痺れて下さい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1404034

まずは何といっても「Sunny」。コモエスタ八重樫のプロデュースによる濃厚なブラジリアン・グルーブに乗って、渋く押さえの聴いた彼女のヴォーカルが冴える。ギターは現代の東京モッズシーンを代表する化石、アイサトウ。時代錯誤なサウンドが、これまたタマラナイっす。
もともとは1996年のアルバム【Dynamite Groove】に収録された曲である。もちろん本当は、この【Dynamite Groove】を聴くべきなのだが、あいにく廃盤で、現在では容易に入手出来ない。だから、この「Sunny」が聴けるというだけでも、今回の【リズムアンドブルースの女王。】を買う価値は充分にある。

あるいはまた、ピチカート・ファイブの名曲をカヴァーした「悲しい歌」。
オリジナルは端正なリリシズムに溢れた作品だが、これが何と、JB'sばりのホーン・セクションが炸裂するスロットル全開のファンキー・ソウルと化しているのである。
ピチカート・ファイブのオリジナルはこちらで試聴出来ます。お暇と興味のある方は、是非とも聴き比べて頂きたい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1406273
どうだろう。まるっきり別物でありながら、これはこれでアリなんじゃなかろうか。
私自身は、相当な弦楽器贔屓なので、オリジナルも好きなのだが、和田アキ子のバージョンこそが、この曲の正しいあり方だという気さえする。それほどに、彼女のヴォーカルは圧倒的な説得力を提示している。「比較不能な価値の迷路」という言葉は、こういう時に使うのかも知れない。
ちなみに、この凄まじい編曲は、元パール兄弟のギタリスト、窪田晴男の手によるものだ。
この曲は1998年のアルバム【Dynamite-A-Go-Go】に収録されていたものだ。だから、もちろん本当はそのアルバムを買って聴くべきなのだ。だが、あいにくと【Dynamite-A-Go-Go】は既に廃盤で、容易には入手出来ない。
てなわけで、「Sunny」と「悲しい歌」が両方聴けるというだけでも、このアルバムを買う価値は充分過ぎるほどにある筈だ。

さらにはまた、クレイジーケンバンドのコテコテ曲「タイガー&ドラゴン」。
こちらは、クレイジーケンバンドによる編曲で、ほぼオリジナルに近いアプローチで歌われているが、これがまた、私に言わせれはオリジナル以上にカッコいいのだ。
正直言って、オリジナルには「狙ったコテコテ」みたいなところがあって、若干の恥ずかしさを払拭し切れていないのだが、和田アキ子が歌うと、そのコテコテがきっちりとサマになっているのである。もはや言葉もない。
もちろん、一枚まるまるクレイジーケンバンドと創った2003年の【ルンバでブンブン】を聴くべきなのだが、あいにく廃盤で以下同文。

最後のダメ押しは「真夏の夜の23時」。
元ピチカート・ファイブの小西康陽が和田アキ子のために作詞作曲したオリジナル曲である。前述の【Dynamite-A-Go-Go】に収録され、シングルでも発表された作品だが、何とこれまた既に廃盤で以下同文(涙)!。
私はもう、イントロで痺れてしまう。編曲は、何とあの村田陽一。Jagataraの「裸の王様」で鬼気迫るトロンボーンソロを吹いた、あの男なのだ。
掛け値無しにもう、この一曲を聴くだけで、確実に【リズムアンドブルースの女王。】を買う価値はある。

これらに加えて、60年代の未発表音源までも収められているのだと言えば、ちょっとでも和田アキ子が気になっていたあなたは、もう聴かずにはいられない筈だ。

今回は私、本気ですぜ、旦那。
posted by 非国民 at 03:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽;東アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
・・・なんということだ。

Feiさんが私の持っているCDをお奨めしているとは!
なんか猛烈に間違ってる気がするけれど、このアルバムはオイラも大好きです。

いまにみていろかあちゃんもっ、ハッ!
Posted by manet at 2007年05月17日 00:45
・・・なんということだ。
私の奨めるCDをmenetさんが持っているとは。
もはや世も末だという気もしますが、まあ、三十何年も生きてれば、こういうこともあるんですね。
ともあれ、こと音楽に関しては全く志向の違う二人が口を揃えるのですから、間違いなく名盤ということなのでしょう(と、まとめてはみましたが、嬉しい反面微妙に悔しいので、次回は外してやろうと企んでいる)。
Posted by 非国民 at 2007年05月17日 03:17
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