
竹サルサである。これにはさすがに驚いた。
何たってカッコいいんだなあ。
スンダ(*1)の伝統音楽界にあって独自のポップ路線を突き進み、ひときわ異彩を放っているSambasunda。そんな彼らが「今回は一発、サルサでもやってみっかー」とばかりに勢いで創ってしまった(かどうかは知らないが)大傑作アルバム。2001年の作品。
キーワードはとにかく「竹」。
ジャケットに記されたサブタイトルが、そのまま秀逸なキャッチフレーズになっている。
We live, we eat, we play with bamboos.
saron(竹のマリンバ)やsuling(竹の縦笛)、angklung(何とも説明し難いが、とにかく竹のパーカッション)といったガムランgamelanの伝統楽器に加えて、バイオリン、トランペット、ティンバレス、コンガ、ジャンベ等々、実にメチャクチャな楽器編成で楽しませてくれるこのバンド、なんと総勢19人の大所帯なのだ。
バイオリンてのが、また意表を突いているのだが、これが絶妙にしっくりと決まっている。
ガムラン・ドゥグン(スンダ独特の小編成ガムラン)にバイオリンを導入したのは、このSambasundaが最初だそうだが、そりゃそうでしょう。普通、思い付きませんて。
竹マリンバのペコポコした音色に、ビービーと品の無い竹笛が絡まって、何とも心地良い脱力感を誘う。で、これがまたカリブ海のリズムに合うんです。
気持ちよくリズムに身を委ねていると、後ろではずっとペコポコ、ペコポコ。馬鹿にされているような気さえして、さらに至福。
彼らのホームページでは、どういうわけか、このアルバムが試聴できないので、邪道ですが、iTunesで試聴して下さい。一曲目から飛ばしてます。
レコーディングはスンダの中心都市で彼らの本拠地でもあるバンドゥンBandung。内陸の高原に位置する爽やかな地で、インドネシアにあっては避暑地である。
Sambasundaの音に、あまりジメジメベタベタした印象を受けないのは、そんな気候が関係しているのかも知れない。
ちなみに前回紹介したKrakatauもバンドゥンから発したバンドで、彼らが取り入れたのも自らのルーツであるスンダのガムランである。
スンダ人はことのほか歌と音楽の好きな民族として知られる。実際、インドネシアの現代ポップスは、その多くがスンダ起源だそうだ(もちろん、ばりばりの古典ならジャワやバリも凄いんだけど)。
余談ながら、竹なら日本も負けてないぞということ(かどうかも知りませんが)で、Bamboo Orchestraというのがあります。
こちらは真面目な現代音楽風のアプローチで、少々とっつきにくいですが一聴の価値あり。
*1 スンダ
ジャワ島を大きく西部、中部、東部に分けると、西部にスンダ人、中東部にはジャワ人が住んでいる。
スンダ人の住む西部をスンダ地方と呼ぶ。
人口3千万人のスンダ人は、ジャワ人に次いでインドネシア第2の民族集団である。
アルバムタイトルにある「Salse」とは、スンダ語で「のんびり、気楽に」という意味。
いやここまで来るとジャンル云々ではないですね。
こういうの楽しいのでどんどん紹介してください。
日本の竹だと関口孝関連、特にこのサントラ音源集良いですよ。
やや「癒し」入ってるけれど。
http://boid.pobox.ne.jp/crescent/cres/sekiguchi.htm
・・・今日から実家に帰省中で、体感気温が東京より10度は涼しい浜名湖畔で聴いたせいもあるとは思いますが。
ね、良いでしょ。
そして、こんな珍品も今ではHMVで手に入るらしいと魔の囁き。。。
世界の面白い音楽を紹介しようと思いつつ、気がつけばインドネシアものが4枚目。インドネシア音楽は深いです。深みにはまって溺れる人も後を絶たないと聞きますから、お互い気をつけましょう。
関口孝というのは知りませんでしたが、なかなか気になりますね。
>manetさん
気に入ったようで何よりです。
>なんだか涼しいのに元気がでます。
そうですね。もともとスンダのガムランは、ノリが軽いと言うか、親しみやすいんです。こういう遊び心いっぱいのバンドが出てくるのも、スンダならではという気がします。
バリのガムランとかだと、行き着く先はトランス状態ですから、「元気」の種類がちょっと違います。