皇室典範の改変は拙速に過ぎると言うさる国会議員によれば、「国民の多くは,女性天皇と女系天皇の違いも理解していない」のだそうだ。
さて、どうなのかな。
私自身はと言えば「違いは理解しているつもりだが、その違いがそれほど重要とも思えない」のである。私だけだろうか。
「んなもん、どっちだっていいじゃんか」と思ってる人、けっこういるんじゃないかなあ。。。
世の中には「男系でなければ天皇の意味がない」という人と「女系でも天皇は天皇だ」という人がいて、聞けば聞くほど,両者の主張は平行線なのである。
多数決で決めるようなことではなかろうし、かといって論理で考えて正誤が決する種類の問題でもない。
で、話は一気に飛躍するのだが、いっそのこと、両方天皇にしてしまえばどうか。
新たなる南北朝時代である。あるいは東西朝と呼ぶべきか。どっちが江戸城に住むかで揉めるかもしれないが、もう一方は、伊勢でも吉野でも良いが「由緒正しき地」に「朝廷」を構えればいい。いや、別に函館だって構わないんだけど。
そんなに天皇がありがたいのなら、二人いれば、なお結構ではないか。とまあ、これは半分厭味だが、実は半分本気でもある。
二朝並立となれば、なにしろ600年ぶりのことである。この目で見られるとなれば、なんだか面白そうじゃないですか。長生きした甲斐もあったというものだ。
かような妄想は、野次馬根性の卑しさかかも知れない。が、そう思うのも、要するに今回の事態を一種の家元騒動だと見ているからである。
巷間の家元騒動が私の中で常にゴシップ扱いなのは、それが「どうでもいいこと」だからである。少なくとも現代において、家元制度が日本文化に貢献するところは皆無だと思っているから、安心して野次馬的に傍観できるのである。
誰が天皇位を継承するかは、天皇の地位をどう捉えるかで、問題が違ってくる。
第一は、天皇家という特定の「家」を誰が継ぐかという問題であり、これは、そのへんの家元騒動と同レベルで、もっぱら当人たち(だけ)の問題である。百歩譲っても、天皇に宗教的権威を求める神道の一派が、身内で論ずる問題である。
第二は、国の制度としての天皇制に関わる問題である。憲法には皇位の継承について「世襲のもの」としか書かれていない。常識的には、養子だって世襲だ。そもそも天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」のだから、本来なら、国民の総意があれば狐でも狸でも構わない。
この二つの「天皇」役割は、当然のことながら、全く違う性格のものである。両者が乖離するのであれば、複数の天皇が同時に存在して何の不思議も無いのである。
それにしても、日本国民は、誰かに象徴してもらわなければ統合できないのだろうか。情けないやら、悲しいやら。
2006年02月02日
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>んなもん、どっちだっていいじゃんか」と思ってる人
なのですが、複数の天皇を税金で養うのはイヤです。
本当は、単数の天皇でも、税金で養うのはイヤです。
国の制度を離れたところでやるのなら、勝手に何10人でも天皇をつくっていただいてかまわないのですが。
皇位継承は、やはり二抜けだろうか?
全く、その通りですね。税金使わないのなら、もう、なんでもやっちゃって下さい。
ところで、jabbaさんと南郷さんは、何の話をしておられるのかな???
その昔、道鏡でいいか悪いかという時には、USAまでお伺いに行ったという話を思い出したのですが、小泉さんなら、当然、もうしてるんでしょうね。
大衆というのは大体そんなものだと思うよ。
市民として自立できてなきゃだめだって言うのは、近代主義者の一種の洗脳であって。
日本のように文化的多様性が高く、キリスト教やイスラム教のような強力な統合装置も持たない。
天皇がいなくなったら、政治的に不安定になるのは不可避。
天皇制を失ったら却って安っぽいナショナリズムが前面に出てくるかもしれない。
韓国みたいにね。
その意味で、天皇というのは日本人の知恵だと思うよ。
コメントありがとう。
返事を書いてありますので、よろしかったらご覧ください。
そちらも楽しく読ませて頂きました。
お互い、外野席から見守りましょう。
>kuantanさん
私も大衆なんですが、案外そんなものでもないですよ。
ところで、「政治的に不安定」ということの意味付けが曖昧ですね。時々政権が交代するとか、第一党が単独で過半数を取れない、という事態をさして「政治的に不安定」と呼ぶのであれば、私は、それでも良いじゃないかと思います。
わたしが生きている間に断絶することはなさそうですけど。
私も興味はありますね、凄く。
まあ、なんのかんのと、どっかから連れて来て「繋がった」ことにしちゃうんでしょうか。
それとも、男系至上主義者たちは、女性天皇即位の暁には反天皇勢力となるのでしょうか。それも見物です。
>私も大衆なんですが、案外そんなものでもないですよ。
大衆というのは個人のことではありません。
あなたが大衆かどうかという設問は意味がないと思います。
>非国民さん
>私も大衆なんですが、案外そんなものでもないですよ。
大衆というのは個人のことではありません。
あなたが大衆かどうかという設問は意味がないと思います。
また大衆がどんなものかお互いにああだこうだといってみても水掛け論なので、やめましょう。
私は大衆というのは、どの国でもそんなものだと思うということです。
日本人が特別どうだ(情けないとか)と思い込んでいるのなら、それは間違いだと私は思いますが。
政治的に不安定になるということは、第一党が過半数を取れないというようなお上品なことではなく、血が流れる、容易に血が流れる、あちこちで血が流れるという状態です。
今日私は、タイからマレーシアに出ましたが、タイについては日本では美化された報道しかなされていないと思います。
しかし、ここでも宗教問題や民族問題でいまもしょっちゅう血が流されています。数日前は私のいたタイ深南部で毎日のように爆弾テロがありました。北部では隠蔽された殺人やレイプがごく普通に行われています。なぜなら、ID(タイ国民としての資格)を持たない少数民族住民がまだ多くいるからです。
どこの国民でもないということは現実に悲惨なことです。
タイの国王崇拝・賛美の強制、国王崇拝イデオロギーによる少数民族・外国人を含めた全住民の統合政策に比べたら、現代日本の天皇制なんて存在しないに等しい子猫のようなものです。
おっしゃる通りだと思います。私自身は、もう長いことタイを訪れていませんが、Kuantanさんの言うようなことも大いにあり得るだろうと想像します。
ただ、今のところ私は日本に住んでいるので、日本の制度について納得のいかない点を挙げているだけです。