2017年04月21日

物語のチカラ

カーレド・ホッセイニ『そして山々はこだました』読了。

良い話を読んだ、と素直に思う。長生きして良かった。

まずもって本当に上手い。これほどの奥行きを持ったエピソードの集積をきっちりと紡ぎ上げ、しかも読み難いということがない。大変な力量だと思う。これが三作目だというから凄い作家だ。しかも作家になる前は医者だったというから並みの才能ではない。そしてなお凄いのは、上手いだけではないという点だ。奇抜な設定や妙に凝ったプロットなどの小手先は一切なく、ひたすら物語そのものが持つ圧倒的なチカラに引き込まれる。これこそが小説を読む愉悦。

絶対に読んで損はない一冊だが、早川書房さんは増刷するつもりが無いらしい。日本では流行らないのか。そんなこともないと思うのだが。ちなみにアメリカではべらぼうに売れたらしい。確かにアメリカ人が悦びそうな話だ、とは思った。あの人たち、家族の話が大好きだからなあ。
posted by 非国民 at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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