2020年08月13日

13歳が歌うのはズルい

名曲の名演。しかも驚愕のエジプシャンヴァージョンだ。
Crazy (Egyptian style cover) by Ahmad A. El Haggar ft. Layla Mostafa
 
2013年のこのセッションが良い。全てが良い。全てが完璧に良い。曲はもちろん良く、歌もアレンジも演奏も完璧に良い。

動画がまた良い。本当にみんな良い顔をしている。音楽はこうじゃなくちゃ、という顔だ。

今回の主役はLayla Mostafa、当時13歳。どういう縁でこのセッションに巻き込まれたのか、今はどうしているのか、何も分からないが、このパフォーマンスには素直に驚嘆する。

そして今回の首謀者は、ヴォーカルのAhmad A. El Haggar。アーメド・エルハジャールとでも読むのか。アラビア文字だとأحمد علي الحجار 。音楽一家の生まれで、というか父親のAli El Haggarも有名な歌手だ。アラブ音楽をみっちり学んだ上で、さらにバークリー出という曲者である。自分のアルバムでは作曲をこなし、本セッションではアレンジも担当している。歌の技術は確かで、しかもアラブ界では「美声」とされるタイプだ。

バックを固めるミュージシャンがまた豪華にして濃厚。

ウードはIslam AlAsabgy。こんなに楽しそうにウードを弾く人をなかなか見ない。名前の表記はAlQasabgyだったりEl Aasabgyだったりと適当で、アラビア文字ではإسلام القصبجي 。古典からジャズまでこなす達人だが、スーツ姿で古典を弾いていてもあの「白眼鏡」なので、すぐに彼と分かる。首謀者アーメドが今年出したアルバムにも参加している。Rami Attallah Groupでは、やはり楽しそうな顔で実にリリカルな音を紡いでいる。
All About Life - Rami Attallah Group - Live at Music Tent

ベースのSikaも首謀者アーメドのアルバムに参加している。名前はSekaの表記もあり。アラビア文字だとسيكا 。エジプトの音楽シーンはこういう所が面倒臭い。彼もyoutubeを彷徨っていると時々見る顔で、いつ見ても6弦だ。一抹の倦怠感を漂わせてNesma Mahgoubが歌う面妖なアラボサルサでも粋なプレイをしている。
Fonograf ft. Nesma Mahgoub: سلمولي على مصر
リンク先の動画にはなぜか写っていないが、ここでネイ(笛)を吹いているのも本セッションと同一人物だ。

そのネイ(笛)はLaith Suleiman。時々Sulimanの表記もあり、こういう所が実に面倒臭い。アラビア文字だとليث سليمان 。古典楽器の中でも笛というジャンルは格別の「師匠感」を醸し出すと私は勝手に思っているが、彼もどこか師匠っぽい雰囲気だ。ヨルダンのアンマン出身でサンフランシスコの美大を出て、今はカイロで笛を吹いて暮らしている。
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ギターのRami Sidkyは、どちらかというとロック畑のミュージシャン。一昨年(2018年)の5月に「大統領を批判する歌に関わった容疑」で逮捕され、1年以上も拘束されていた。国内外で大きな問題になりアムネスティも動いた一件だ。英語で検索すると、その話題ばかり出てくる。

パーカッションはHani Bedeir。彼の名前もHanyだったりBedairだったり。もう本当に面倒臭い。هاني بدير 。

カヌーンはMahmoud Amer。あまりに「ありがちな名前」のせいで、私の適当な調べ方では殆ど情報が出てこない。演奏を見れば、とんでもない達人であることは一目瞭然なのだが、むしろ誰か教えてくれ。

そんな強者どもが支える稀代の名セッションである。全員が本当に楽しんでいる。そして13歳が歌うのはズルい。
 


posted by 非国民 at 01:12| Comment(0) | 音楽;アフリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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