UAEにバーレーン、サウジと、それぞれに思惑も立場もあるだろうが、共通しているのは民主制とは程遠いということだ。
サウジアラビアは「サウド家のアラビア」という国名が如実に示す通りの絶対王政で、議会は無く、勅令がすなわち法律だ。
UAEは首長国連邦という少々ややこしい形だが、分かりやすく例えれば、要するに幕藩体制だ。アブダビが徳川家で他が諸藩。アブダビの首長が連邦大統領を兼任し、もちろん民選議会は無い。
バーレーンは立憲君主制ということに一応なっているが、主要な閣僚は王族が占め、野党は非合法だ。民主制とは言い難い。
そもそもGCC諸国がイランを忌み嫌うのは、イランが<革命>によって王政を倒した国だからだ。<革命>を輸出されては迷惑だというだけの話であって、宗派は関係ない。
結局これらGCC諸国の「国益」とは、いかにして民主化を回避し王政を維持するか、に尽きる。イスラエルに寄るも寄らぬも、それが「国体護持」に益するかどうかの損得勘定でしかない。
サウジが「イスラムの守護者」という看板にこだわり続けるのは、その看板こそが「メッカの支配者」としてのサウド家統治を正当性するからに他ならない。一方で、そこまでの「神話」を持たないUAEやバーレーンは、国内の民主化運動を抑え込むのにイスラエルの諜報技術が欲しいのだろう。
いずれにしても、何かしら共通の理念があっての動きではない。
そして、書いていて自民党の総裁選挙も全く同じだと気付いた。あれも結局は自民党支配を維持するための損得勘定でしかなく、この国をどうするかという話とは何の関係も持たないのであった。