2021年06月03日

クズ議員の処遇について

菅原一秀さんが国会議員をお辞めになるそうだ。ああやっぱり、とは思うが、同時に釈然としない思いも残る。

「もっと早く辞めるべきだった」とか「もっと早く辞めさせる制度が必要だ」といった世論が吹き荒れているからだ。

さて、それはどうなんだろう。

確認のために一応言っておくと、菅原さんは裁判で有罪になったわけではない。裁判どころか起訴すらされていない段階である。特捜部の取り調べに対して本人が罪状を認めた上で一度は不起訴(起訴猶予)になっているわけだが、それとて、検察が「本人が罪状を認めた」と言っているに過ぎない。その本人は国会からもメディアからも逃げ回るばかりで(だからクズ議員だと私も思うわけだが)、本当のところは分からない。「罪状は明らかだが既に大臣を辞めたので起訴するに当たらない」という当初の検察の判断も意味不明である。

日本の刑事司法は推定有罪が原則だが、公選法違反に関しては例外的に推定無罪の原則が適用される。報道によれば検察は略式起訴の方針らしいが、これは被疑者側の同意があって初めて可能な手続きである。菅原さん側が略式起訴に同意しなければ起訴すなわち公判請求になる。今回はちょっと考えにくいが、仮に菅原さんが裁判で争うとなれば、最高裁で有罪が確定するまでは公民権停止にはならない。

その上で思うが、「もっと早く辞めさせるべき」というのは、どの段階を指して言っているのだろうか。

検察の捜査が及んだ時点で、というのなら、検察は自分たちの気に入らない議員をいつでも辞めさせることが出来てしまう。検察にコネの効く有力者も同じことが出来てしまう。

メディアが疑惑を報じた時点で、というのなら、メディアは自分たちの気に入らない議員をいつでも辞めさせることが出来てしまう。メディアにコネの効く有力者も同じことが出来てしまう。

クズ議員一人の歳費をケチるための代償としては、あまりにも弊害が大きすぎないか。

そもそも、クズ議員がいて困るのなら選挙で落とせばいいのである。それが出来ないから何か他の手段を考えよう、というのは民主的な発想ではない。


posted by 非国民 at 07:26| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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