2021年07月07日

検察の思惑が分からない

河井克行さん案里さんによる公選法違反に絡んで被買収側とされた100人が、揃いも揃って不起訴処分だという。これが分からない。分からないことだらけだが、とりあえず3つの疑問を書いておく。

第一に不起訴の理由が謎だ。検察は幾つかの理由を挙げているが、その説明はいかにも苦しく、はっきり言えば、どれも全く理由になっていない。これが検察審査会に通用するとは到底思えないし、検察自身もそのことは認識しているはずだ。いずれ検審で起訴相当の判断が下される事態は避けられず、どのみち起訴せざるを得ないだろう。何故に説得力皆無の苦しい説明を繰り出して不起訴としたのか、ここが分からない。

第二に、司法取引の存在が強く疑われる。というか、どう考えてもこれは司法取引の結果なのだろうが、公選法違反は司法取引の対象外だ。仮に事実上の司法取引が存在したとすれば、彼ら100人の証言は「違法な捜査によって得られたもの」と見做されて証拠能力を失う。そうなった時、検察は河井克行さんの控訴審をどう争うつもりなのか。もちろん、不起訴のままなら取引は露見しないわけだが、それにしたって、である。既に告発がなされている以上、告発者が不起訴処分に納得するはずもなく、検審行きは避けられない。起訴相当とされたらどうするつもりなのか。略式請求なら公判は開かれないにしても、罰金刑や公民権停止となれば当人が以前の取引を暴露する可能性は極めて高い。本当にどうするつもりなのか。

あるいは、そこまで危ない橋を渡ってでも河井さんを起訴しなければならない強い動機が検察にはあったということなのか。

今回の検察の説明を聞くと、どうやら検察は被買収側の100人について立件も刑事処分もしないつもりだったようだ。なのに告発(なんて余計なこと)をする者がいて、(本当はやりたくなかった)刑事処分をせざるを得なくなり、不起訴処分に至った、という説明である。とはいえ、告発そのものは当然に予想されるべきだったのではないか。公選法の買収罪は買収した者と買収された者をセットで立件するのが常道だ。何故今回に限って一方のみを不問にして罷り通ると思ったのか、それも謎だ。

第三の、そして最大の謎は、何故今なのかだ。河井克行さん案里さんが起訴されたのは、実に1年近くも前である。その時点で被買収側についても必要な証拠は揃っていたはずだ。1年近く放置していた理由も謎だが、それ以上に、1年近く経った今になって刑事処分に至った理由が謎である。まるで都議選が終わるのを待っていたかのようなタイミングだが、どう考えても関係しそうにない。となると、何故今なのか。これが本当に分からない。
 
posted by 非国民 at 19:05| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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