
ほぼ懐メロ。だけど、今時の若い人がやっているのを聴くと何だか嬉しい。
カナダのシンガー&ソングライター、Crissi Cochrane。こう書いてクリッシ・コクランと読む。出身地のノバスコシア州は、その名の通りカナダの中でもスコットランドの気風が残る所で、コクランという少し珍しい姓もスコットランド系だ。ライブでのトレードマークはフェンダー・ジャガー。渋い。
活動の拠点としているのはオンタリオ州のウィンザーWindsor。カナダ最南端の都市で、デトロイトの「向島」みたいな位置にある。橋を渡るハイウェイの通関は北米で最も忙しい国境の一つだ。
現在までに3枚のアルバムを出していて、本作は2014年に出た2枚目。youtubeのオフィシャルチャンネルに全編が置いてある。これが実に良い。
Crissi Cochrane - Little Sway FULL ALBUM
もう1曲目から、いと懐かしきサザンソウルの風が程よい脱力感とともに流れる。ほとんど懐メロなのに、どこか新しい香りが漂い、そして何だか嬉しいというこの至福感たるや。
2曲目のゆるゆるグルーヴも良い。そして、あっという間に一枚を聴き通してしまう。
全曲がバンド形式で演奏されていて、クレジットを見ると本人のVo & Gt(時々フルートとウクレレ)、Ba、Dr、Sax、Sax、Tpの6人編成だ。ホーンが木管メインなので、全体のサンドがとても柔らかい。カナダ英語の優しい響きも絶妙にマッチしている。キーボードが入らずに、ホーンが白玉(全音符)を多用するところも面白い。私の世代はドンピシャで琴線に触れるんだけど、若い人はどう思って聴いているのだろうか。
2020年の3枚目アルバム【 Heirloom 】も良い。アルバムタイトルは「家宝」の意。本人いわく父親に譲ってもらった1964 Fender Jaguarのことらしい。そりゃ宝物だよな。