驚くべきことに東京は緊急事態宣言の発令下だ。驚くべきなんだろう、本当は。
にしては、このさっぱりとした緊急事態感のなさはどうだろう。この期に及んで何か意味があるのか?
要するに日本の緊急事態宣言は(少なくとも2回目以降は)政権の支持率対策であり、それ以上でも以下でもないのだと思う。現にこの宣言は実際の感染拡大状況とは無関係に出され、その度に多少なりとも支持率は持ち直してきた。宣言を出すのも延長するのも解除するのも、ただただ支持率の推移を見て判断するだけであり、だからこそ絶対に客観的な発令基準を設けようとはしない。
今回の延長も、例によって事前にマスコミにリーク記事が流され、世論の反応を確かめた上で決定された。そして、それらの報道そのものが既に緊急事態感を欠いている。「2ヶ月前から続けてきた対策を来週以降も継続するかどうか明日の会議で検討する」という報道は、誰がどう見ても緊急事態を伝えるニュースではない。
今の緊急事態宣言に何かしら感染対策として実効性があると考えている人はいるのだろうか。日本の感染対策のキーは人流抑制ということになっているが、もはや殆どの専門家も政治家も役人も、これを漫然と続けて効果があるとは考えていないはずだ。それでも止められないのは、結局のところ彼らの骨の髄にまで染み込んだ責任回避体質が原因だろう。
もちろん、それぞれが感染拡大を防ぐために知恵を絞り汗をかいているとは想像する。彼らを悪く言うつもりはない。そうはいっても「感染拡大を防ぐこと」は、残念ながら彼らの最重要課題ではない。最も重要なのは「感染拡大が防げなかった時に、それが自分の責任にならないこと」なのだ。もはや日本のコロナ対策は壮大なババ抜きと化していて、誰もが「どうすれば自分の責任にならないか」を考えているようにしか見えない。
2021年09月16日
この記事へのコメント
コメントを書く