ミン・ジン・リーの小説『パチンコ』を読了。Min Jin Lee - PACHINKO。著者名は東アジア風の呼び方だとイ・ミンジンといったところか。日本語版は池田真紀子訳、文藝春秋2020。
少し前に読んだ書評記事が気になって、というか、その記事のコメント欄が凄すぎて気になっていた一冊だ。まあ何が凄いって「読んでないが中身は想像がつく」という超能力者が雲霞のごとく押し寄せて酷評しまくっていたのだ。およそ読書人にとって、読んでいない人のコメントは高評価だろうが低評価だろうが全てゴミである。そんな当たり前の事に想像が及ばない人たちというのは、いったい本を何だと思っているのだろうか。
さて、そんなわけで気になっていた一冊だが、読み始めて一気に引き込まれた。良い話だ。読んで良かったと本当に思う。著者はコリア系アメリカ人。日本に住み着くことになったコリアン一族4世代の数奇な運命を紡いだ物語で、1910年から1989年にまで至る長い話だ。上下巻700頁の大作だが、なかなかのページターナーで、長いとは全く感じない。まあ英語圏の小説は概して長いので、これぐらいは普通だし。
アメリカではかなり評判になったらしい。まあ何となく分かる。ホッセイニの時にも思ったが、いかにもアメリカ人が好きそうな話ではある。移民の苦労話と家族の絆、加えて逆境に屈しない信仰心、まさに鉄板の組み合わせだ。その「出来過ぎ感」だけは少し引っ掛かったが、それでも良い本を読んだという思いは変わらない。重ねて言うが、読んで良かった。
2021年09月30日
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