大方の予想をも超えた負けっぷりを実現した自民党。彼らは、この先どこへ向かって行くのだろう。まあ私なんぞの心配することじゃないし、いずれkuroneko師匠あたりが綺麗にまとめてくれるのを期待したいところだが、ちょこっと思ったことを書いておこう。
まず、少なからぬ人が4年前には自民党に投票し、今回はしなかったわけだが、彼らは何を思って自民党に票を投じなかったのか。そりゃあ色々とあるだろうけど「自民党なんて無くなってしまえ」と本気で思った人はそれほどいないと思う。「いくつかの点で自民党は変わる必要があり、かつ、与党でいる限りは変わらない」というのが大方の判断だったんじゃないかなあ。
私自身も(全くもって余計なお世話だが)自民党は変わった方が良いんじゃないかと思っている。とは言っても、一応は政党なんだから理念や政策を変えろとは言わない。時と場合によっては(トンデモ保守はともかくマトモな保守であれば)保守政党にもそれなりの存在意義があるわけだし。ただ、政策決定に到るプロセスというか、政策を決定出来ないプロセスというか、その辺の体質みたいなところは、さすがにもう少しどうにかならないのかなあと思う。
というわけで、現実に野党となった自民党は、その体質を変えられるのだろうか。残念ながら、見通しは明るくないように見える。落選した人、当選した人の顔ぶれを見る限りでは、さして期待できまい。
無駄に長い間政権の座にいたせいもあって、自民党の意思決定層はむやみに平均年齢が高い。発言力を持っているのは60代、70代が中心だし、若手だ中堅だといわれている人たちは、そのほとんどが3世4世の世襲議員だったりする。今回の惨敗によって議員の絶対数は大幅に減ったが、その構成は結局変わっていない。自民党を変えられそうな人はもう残っていないんじゃないかな。
ちょっとでも芽があるとすれが、河野さん、石破さん、舛添さんあたりだろうか。3人とも(三者三様の理由で)私は大嫌いだが、あいにく彼らは麻生さんと違って馬鹿ではない。いまだに自民党に残っているからには、残っているなりに何かしら考えがあるのかもしれない。
自民党が一つの組織として存続して来た最大の理由は「与党」であったことだ。それを失った今後、新たな存立基盤の模索は避けられないだろう。紛う事なき正真正銘の右翼政党として先鋭化する可能性も考えられる。あまり考えたくはない可能性だが、本根を曝け出せは良いだけのことだから、これは案外簡単かも知れない。
逆に、右翼を切り捨てて(これは難しいだろうなあ)中道政党への道を進む可能性もある。もっとも、そうなってしまうと似たような二つの政党以外に選択肢が無いという二大政党制の最も退屈なパターンに陥ってしまうわけだが。
ちなみに私自身は、自民党が無くなれば良いとは思っていないが、変われないのなら無くなっても仕方がないとは思う。そもそも二大政党制がそれほど優れたシステムだとは全く思っていないし、二大政党制的な枠組みだとしても中道連合と左派連合が確執する構図の方を遥かに期待する。
いずれにせよ、自民党の行方は私にとって「割りとどうでもいいこと」であって、でも(あるいは、だから)それなりに面白い。