屈んで見れば嗚呼、何といふことでせうクロゴキブリ。立派な成虫だ。恐怖に鳥肌立てつつも脱いだ靴の底にて殺生する。合掌。
当アジトでゴキブリを見るのは久しぶりだ。室内で見たのは、引っ越してすぐの頃に成虫1匹を殺生したのが最後だから20年ほども前だ。そして今日が2回目ということになる。もっとも、共用廊下では何度か見ているので、「いるなあ」とは思っていた。今回は帰宅とともに連れ込んでしまったのだと信じたい。今後は用心せねば。
KGBの何がそんなに嫌いなのかを説明するのはとても難しい。子供の頃から好きだったことは一度もない。これほど久しぶりに見たのに一瞬でセンサーが作動するというのも、何かしら本能に刷り込まれているのだろうか。
ゴキブリのフェロモン研究で名を成して日本昆虫学会の会長も務めた石井象二郎博士は「それでも私はゴキブリが嫌い」と公言し、著書『ゴキブリの話』では「ゴキブリとスリッパ」に一章を割いた。
それにしても、我ながらよく気付いたものだと思う。ヒトの視覚は、動くものと動かないものを脳の別の部位で処理しているそうだが、なるほど、こういうことかと深く感じいった次第である。